DAYS
第21章 愛を込めて花束を S×N
湯船に浸かって、深いため息をつく。
ほわほわと、湯気が天井へと
立ち上っていく。
それをどこか遠い目で見つめてたら、
涙がほろっと零れた。
お風呂場は、こんなに潤ってるのに、
心はカラカラに乾いてる。
何もかも洗い流したくて、
お湯にだぼん、と沈んだ。
「ぷは…っ。…翔…。」
「どうしたの?」
「…え。」
髪からぼたぼたと水が滴ってて、
前が滲んで見えてる。
だけど、目の前にいるのは
紛れもなく、1番好きな人。
…全裸だけど。
「…何でいるの?」
「ダメだった?」
「ダメじゃないけど…。」
「和、一緒に入りたいかなぁって。」
「え…。」
俺、そんなに分かりやすかったのかな。
余裕がなかったのは本当だけど…。
「おいで。」
翔が、自分の脚の間にスペースを空けて、
手を広げて待ってくれてる。
すっぽりと収まる感じ。
体の形も、大きさも何もかも違うのに、
ぴったりと収まる感じ。
それだけで、
俺の心が暖かくなっていくのが分かる。
「分かったの?」
「何が?」
「…何でもない。」
素直になれないけど、
そんなとこも含めて好きだって言ってくれる。
俺、わがままだなぁ。
翔はいつだって、俺のことを
真っ直ぐに見つめてくれてるのに。
何かあったの?って
そんなの決して聞いてこない。
だけど、全部分かってるんだ。
「翔。」
「ん?」
「…いつもありがと。」
「うん。ふふ。」
今日は一段と可愛いね、って
俺を後ろからぎゅーっと抱きしめる。
この場所は、いつでも俺のためにあって。
いつだって、暖かくて。
「和。」
お風呂場は、よく響く。
耳に届く音は、柔らかくて優しくて。
久しぶりの2人でのお風呂は
ぽっかぽっかで。
お風呂を出て、ソファーで
ゆっくてたら、
「風邪引く!」って怒られて
ドライヤーをしてくれた。
擽ったくて…だけど、幸せだった。
「おやすみ。」
「おやすみ。」
「愛してるよ。」
「…俺も。」
「俺も?」
「…ぁぃしてる。」
ちゅっと、優しいキス。
今日はいい夢が見れそうだよ。