DAYS
第21章 愛を込めて花束を S×N
S side
次の日の朝。
いつも通り、和よりも先に起きて、
コーヒーを淹れる。
朝ご飯は、最近食べてくれるようになった。
胃もたれする、って言って
昔は滅多に食べてなかったけど。
「ちょっとでも、一緒にいたい。」って
言ってくれて。
「翔がお口、もぐもぐしてるの
可愛いんだよ。」
そうやってニコって笑う和の口にも、
絶対に何かついてるんだけどね。
可愛いでしょ?
スクランブルエッグに、トースト。
少しのサラダをお皿に盛って。
熱々のコーヒーからは、芳醇な香り。
「いい朝だなぁ。」
太陽の光が差し込むリビングは
明るくて、気持ちがいい。
ダイニングの椅子に座って
朝の日課の新聞を読みながら、
和が起きてくるのを待つんだけど、
「遅いな…。」
いつもなら、家を出る2時間ほど前には
起床してるのに、今日は一向に起きてくる
気配がない。
そういう日もあるかな、って
冷えてしまったコーヒーと一緒に
和を待つ。
だけど、待っても待っても和は
起きる様子がない。
少し心配になって、
「和ー?」
寝室のドアを開けて、和の姿を確認する。
名前を呼んでも返事はないし。
布団をぺらっと捲ると、
「和?」
顔を真っ赤にしてる和。
涙の跡がいくつも残ってて。
額に手を当てると、
「あつっ。
和?熱あるね? 聞こえてる?」
俺の問いかけにも、反応はない。
くてっとして、力の入っていない体を
急いで抱き起こす。
「和?和!」
呼んでも呼んでも返事はない。
体温計で測ってみれば、
40度を超えてた。
「やばいな。」
急いでマネージャーに連絡を入れて、
病院に連れて行ってもらえるように
手配してもらった。
20分ほど経てば、マネージャーが
家に来て、
「櫻井さん。二宮さんは?」
「意識がない。」
「危険ですね。
病院には連絡してあります。
急いで向かいます。」
「頼む。」
こんな時に、仕事。
まだ意識のない和を、マネージャーの
車に乗せて見送った。
仕事に身が入る訳ない。