DAYS
第22章 2人のBirthday M×S
M side
翔の出ていった部屋。
ガランとしてて、何だか寂しい。
物はあるけど、
1番あって欲しいものがないから。
「翔ー…。」
1人のリビングは広すぎて、
どうしても寂しくなって。
ベッドの上で、端から端までを
ひたすらゴロゴロと往復してる。
連絡が入ってないかな、って
携帯とにらめっこをして。
だけど新着メールはなくて、
へこんで。
また期待して、の繰り返しを
かれこれ2~3時間はしてる。
俺、危ないヤツになってるじゃん。
「可愛いいってダメなのかなぁ…。」
確かに翔は男だし。
柔らかい胸とか、華奢な肩がある訳じゃ
ない。…なで肩だけど。
だけど、好きなんだ。
とんでもなく可愛いいの。
それだけじゃダメなのかな?
「早く帰ってきてよ…。」
翔のいない左側は寒くて、
思わず体がぶるっと震えた。
いつもね、俺の腕枕に
すっぽりと収まって寝てる翔。
凄く可愛いい。
あ、また可愛いいって言っちゃった。
何なんだろ。
俺にしか見せない顔とか。
俺に全部を預けてくれてる感じとか。
そういうのが、可愛い。
もちろん、どんな翔も可愛いけど。
「どこ行ったんだろ。」
部屋を見れば、大した荷物も持たず、
鍵と携帯だけを持って家を出てった翔。
そんなに遠くには行ってないとは
思うけど、ちょっと範囲が広いよ…。
「あ…。」
よく見れば、クローゼットに掛かってる
ダッフルコート。
ダッフルコートも着ずに、
外に出て行ったの?
ニュースなんかで、
「今年は暖冬に、なるでしょう。」
なんて言ってたのに。
週間予報みれば、ほっとんど
当たってないし。
確かな根拠とか、何もない予報。
何だかそれが俺たちと重なって見えて、
悲しくなった。
「とりあえずは…!」
行き先なんて決めてない。
だけど、探そう。動かないと。
こんな寒い中、どこにいったの?
何で俺の隣にいてくれないの?
積もってく俺の気持ちは、
ちらつく雪そのものを見ているようで。
…会いたいなぁ。