DAYS
第22章 2人のBirthday M×S
じっと考えてたって、
答えが見つかる訳がない。
1人でいたってしかたない。
翔が一緒じゃないと、
何にも意味を持たないんだ。
バカだなぁ、俺。
ベッドを下りて、
寝室を出ようとした時
「…ただいまぁ…。」
愛おしい人の声。
遠慮気味の声。
こっそり扉を開けて、様子を見ると
不安そうにキョロキョロしてる。
不安そうに瞳を揺らして。
…俺を探してるんだよね?
自惚れてもいいよね?
必死な様子の翔を見てたら、
もっと見てたくなっちゃって。
分かってる。
早く安心させた方がいいっていうのは。
だけどー…。
あれじゃん?
好きな人には、意地悪したいってやつ。
暫く見てたら、
「どうしよ、潤。潤?」
って、リビングの方に駆けて行って。
ちょっと間にしたら、俺がいないのを
確認したのか、
「どうしよ…。潤ー…。
出てっちゃったの…?」
とうとう泣き出しちゃった。
ここで出て行けば良かったんだけど、
…ね。
まだ寝室のドア越しに、
こーっそり覗いてる。
バタンって音がしたと思ったら、
「…じゅんー。」
膝から崩れ落ちて、本格的に
泣き出しちゃった。
「も、ダメなのかなぁ…っ。」
綺麗な涙を幾つもポロポロと流して。
頬を伝っていく水晶を、
何もかも忘れて、見惚れた。
そうしたら、
いつの間にか翔の手には携帯電話。
「もしもしっ。
家にね、潤がね、いないっの。
どうしよぉー…っ。」
やばい。とうとうやばい。
寝室から出ようとした時、
「も、ダメだ…。
ねぇ、迎えにきて…?」
甘えるような口調。
…誰と電話してるの?
何でそんな口調で話してんだよ。
俺以外にそんな可愛いトコ
見せてんのかよ。
めちゃくちゃだって分かってる。
泣いてる所見たくて出ていかなかった
クセに、妬いてる。
どうしようもないくらいに。
そんな事を考えてるうちに、
がちゃん
玄関のドアが閉まった音。
あんなに近かった翔は、
もういなくて。
温もりもない。