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第22章 2人のBirthday M×S






そんな俺に気づいた相葉くん。


「ごめん。」って謝ろうとした
俺の頭をぽんぽん、と叩いてくれた。



「大丈夫だよ。」って
言ってくれてるみたいで。

「泣いていいんだよ。」って
言ってくれてるみたいで。



ニノは何にも言わなかった。

さっき、あんなにヤキモチ妬いてたのに、
たぶん状況が分かってるんだと思う。


だけど、全然嫌な雰囲気なんかじゃ
なくって。


居心地のいい、温かい空気が流れてく。


そんな優しさに、
余計に涙が止まらなくなっていく。






家に着いてからも、それは変わらない。



「翔ちゃーん、コーヒー飲む?」
「あ、うん。ありがと…。」
「俺はー」
「ミルクティー、でしょ?」
「うん。」


2つのマグカップを両手に持って、
キッチンから出てくる相葉くん。


「はい。」
「ありがと。」
「相葉くんは?」
「俺? さっき飲んだから。」


そう言って、俺の隣に座った。


2人に挟まれる形で座ってる俺。

やっぱり、この位置変だよ。


だけど、言わない。

今はこの温かさが嬉しい。
何よりも恋しい。



本当は潤がいい。

ぎゅって抱きしめて、
「翔」って飛びっきり甘い声で
呼んで欲しい。


でも…
もうそれもダメなのかな?


誰もいない潤の部屋は、

暗くて、

冷たくて、

淋しかった。


ここにあるのは、2人の温もり。

潤の部屋にあるのは、
たくさんの思い出。

思い出があったって、今は寂しいだけ。



こうやって、結局俺は逃げてる。




2人はきっと気付いてる。

だけど、何にも言わない。
触れてこない。

きっとね、俺が言うまでは
聞いてこないと思う。


それに甘えたい。って気持ちの方が
正直強いけど、

ここまで逃げたら、

本当に潤はいなくなるから。





「ねぇ、2人とも。」
「ん?」
「俺、どうしたらいいかな。」



情けなくて、また涙が出てくる。


こんな時にでも

頭に浮かぶのは、潤の笑顔。


俺の中の潤はいつも笑ってて。

幸せそうなんだ。


そんな甘く、綺麗な記憶だけが
蘇ってくる。



「泣いてちゃ、ダメなんじゃない?」

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