
DAYS
第22章 2人のBirthday M×S
「電話、したら?」
俺の握ってるスマホを指さして、
ニノが言う。
「案外すぐに出るかもよ?」
「うん。ちょっと掛けてみる。」
「そうしよそうしよ。」
電話帳の、たった1人のお気に入り。
「潤」って文字。
タップすれば、コール音がして。
声が聞ける、って思ったら
機械音だけ。
「出ない…。」
「繋がらなかったかぁー…。」
抑揚のない機械音が、
俺の寂しさをよりえぐってくる。
もう、俺のことなんて
どうでもよくなっちゃった?
潤は俺のこと、諦めたの?
もう電話にも出てくれないの?
ダメだ、って分かってはいるけど
出てくるのはネガティブな考え方。
「何で出ないんだろ。」
「いっつもすぐに、出てくれるっに。っ。」
また涙が出てきた。
もう…情けないよ。
電話が繋がらないだけで
こんなんになっちゃうんだ、俺って。
「家にいなかったんだよね?」
「うん。」
「寝てた、ってのもない。」
「うん。」
俺がどれだけ仕事で遅くても、
「ただいま。」って言ってくれる。
玄関とか、リビングで
必ず俺を待っててくれる。
「潤も疲れてるし…先に寝てて?」
そう言ったって、絶対に起きてる。
俺が「おかえり。」って言える
場所を作ってくれてる。
いつだって、俺の居場所を
作ってくれてる。
全部の事に、潤が影響してて。
そんなことを思い出したら
また泣けてきて。
「あーあ。まだ泣き足りないの?」
「うーっ、っつ。」
セーターの袖で、俺の涙を
ごしごしと洗ってくれる。
それがニノのヤキモチを
爆発させて、
「まぁーくん。
俺にそんなにヤキモチ妬かせたいの?」
「へ?いや、…え?」
「もうっ!」
ぷいっという音がつきそうなくらいの
勢いで、そっぽを向いてしまった。
睨むニノと、必死に謝ってる相葉くん。
やっぱり、この2人好きだ…。
羨ましいよね、こういうの。
俺も待ってようかな。
潤の部屋に。
潤が帰ってくるまで。
まだ何もしてないんじゃ、
後悔することも後悔出来ないから。
