
DAYS
第22章 2人のBirthday M×S
そこからの記憶はない。
気が付いた時には、朝だった。
目の上には、まだ冷たいタオルが
置かれてて。
その冷たさに、少し身震いをした。
「ん…。
は?…ここどこだよ…。」
見知らぬ部屋の、ベッドの上。
柔らかい、ふかふかの布団からは
優しい匂いがした。
ゆっくりと体を起こそうとすると、
「いってぇ…。」
ひどい頭痛に襲われる。
何でだ?
怖いくらいに、何があったのか分かってない。
状況を理解しようと、頭をフル回転
させてたら、
「あ、起きてたの?」
寝室であろうドアが開いて、
「え、リーダー?」
「やっぱり覚えてないんだ。」
少し呆れたような顔をしてる。
「何でリーダーがここにいんの?」
「そりゃあ、こっちのセリフだよ。」
「え?」
本当に覚えてないんだね、って
苦笑をしながら、俺の寝てるベッドに
腰をかける。
手には、水の入ったボウル。
「それ、貸して。」
って、俺の横に落ちてるタオルを
指さす。
「昨日、潤が俺の家に来たの。」
「え、嘘。」
「本当。
俺が寝てた時にさ、ピンポンめっちゃ
連打するから。」
「わ、ごめん!」
かなり遅い時間…だったよな。たぶん。
何やってんだ、俺。
「それから、
『酒、飲む。』って冷蔵庫から
ビール出して飲んでるし。」
「すいません…。」
「ぜんっぜん寝ないし。
寝たの、6時前だったんだよ?」
「すいません…。」
「挙句の果てには、号泣するしさ。」
はい。って、もう一度濡らし直した
タオルを渡してくれる。
そのタオルは、さっきよりも冷たいけど、
さっきもあれだけ冷たかったって事は…。
「ずっとタオル、変えてくれてたの?」
「だって、今日仕事でしょ?
腫れちゃったらどうすんの。」
リーダー、寝てないってこと?
「リーダー、今日仕事じゃないの?」
「仕事。」
「もう、ほんっとにごめん。」
「いいの。俺も作品、作りたかったし
ちょうどいいじゃん。」
リーダーの優しさは、眩しすぎて。
太陽より、俺を暖かく包み込んでった。
