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DAYS

第23章 僕を焦がしてる S×N






堰を切ったように、
次々と出てくる言葉。


もう、何も分からない。


俺の気持ちも。

翔さんの気持ちも。



「いっつも俺だけが好きで。
俺ばっかりが余裕なくて。

寂しいのも俺ばっかりなの?」
「でもー…」

「分かってるよ!
仕事だって、メンバーだって!」



分かってるからこそ、

自分に腹が立ってるんだ。



「にの」
「和って呼んでよ…!」


もう滅茶苦茶だ。

こんな事を言いたいんじゃない。



ただ、
「一緒に帰ろう。」

これだけが言えたらいいのに。




「ごめん…。俺、デリカシーなかった。」


相葉さんが、罰の悪そうな顔をしてる。


違う。

俺が悪い。


だけど、俺だけじゃないでしょ?

でも、相葉さんを責めるのは違うでしょ?


「…違うの。」
「…何が違うんだよ。」


少し怒ったような声。


ねぇ、俺に呆れちゃった?



俺の腕を掴んでた手が緩んだ瞬間、
ぱっと荷物を持って飛び出した。



「ちょ、にの!」


最後まで、にのなんだね。



飛び出したって、状況が変わる
わけじゃない。

ただ、1人になりたかったんだ。


変だよなぁ、俺。

さっきまでは、あんなに温もりが
恋しかったのに。

大切だったのに。




大切なものを欲しがるくせに、

大切なものを手放すのは


いつも自分からだ。


局の廊下をひたすら走り抜けて、
駐車場にまで出た。


すぐにマネージャーの車を見つけて、


「家までよろしく。」


そう告げて、車が発進しようとした時、



「俺も。」


息を切らして、乗り込んできたのは


「大野さん…。何で…。」
「何でって…。

家に帰りたいからに決まってるじゃん。」



おどけたように笑ってる。


嘘だ。

5人の収録の時は、いつも相葉さんと
2人で帰ってるのに。

わざわざ俺を追いかけてきたんだ。


さっき、やっと止めた涙がまた、

ほろりと零れた。


何だかその涙は苦くて。

切なくて。


だけど、少しだけ暖かかった。

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