DAYS
第23章 僕を焦がしてる S×N
「もー…やだぁ…っ。」
「うん、分かるよ。」
「大野さんに何が分かるんだよぉ…。」
俺の周りに転がってる、
何本もの空き缶。
これ以上飲んじゃまずいって
ちゃんと分かってる。
分かってるけど、
飲まずにはいられない。
飲んで全部記憶がとんじゃった、
なーんてこと、ないかなぁ。
そんなバカな願いを込めて、
何度も何度もグラスに口を運んだ。
そしたら、
「大野さぁーん…っ。」
この有様。
酔っ払ってるは、泣いてるわ…。
もう滅茶苦茶だ。
「あーあー。酔い潰れちゃって。」
「だって、大野さんがいいって
言ったんだもんっ。」
「はいはい。
何でそんなになるまで、
溜めちゃうかなぁ。もー…。」
眉毛をへの字にして、
いかにも「困った」って顔してる。
「何で言わないの?
ヤキモチ妬いたって。」
「だって、格好悪いもん…っ。」
今さら、翔くんの前で
格好つけたって仕方ないって
分かってるけど…。
だけど、どうしても見栄を張っちゃう。
少しでも、翔くんに似合う人になりたくて。
背伸びしちゃうから。
「翔くん、きっと受け止めてくれるよ?」
「大野さんが言うなぁ…。」
大野さんが、翔くんの事を
分かってるって事にも嫉妬。
また嫉妬。
俺の心は、おちょこくらい小さいや。
「んー。もう1本持ってきて!」
「えー?もうビール無いよ。
ってか、お前何本飲んでんだよ。」
「わっかんない。
飲まなきゃやってらんにゃい…。」
「にゃい…。」
飲みすぎだよって声をかけてくれる。
だけど、全然足りない。
全然満たされてない。
「ねぇ、大野さん…。」
「んー?」
「嫉妬って、おかしいのかな?」
俺の1番素直な気持ちかもしれない。
些細な事ですぐにヤキモチ妬いて。
困らせるまで、機嫌を悪くして。
「いや、俺も分かるよ。」
「…大野さんも?」
「俺もヤキモチ妬いちゃう…
っていうか、妬かされてるの。」
ほんのりピンクに染まった頬を
ふにゃんと緩ませた。