
DAYS
第23章 僕を焦がしてる S×N
腑に落ちたって顔してる俺に、
大野さんは優しく語ってくれた。
「ヤキモチを妬くのって、
悪い事じゃないと思うよ?俺は。」
「…。」
「まぁ、俺も妬いちゃうっていうのも
あるけど…。
だからさ。ちゃんと翔ちゃんに
言わなきゃね、それ。」
「でもー」
「でもじゃないの。
今ごろ翔ちゃん、泣いてるかもよ?」
クスクス急に他人事みたいに
笑ってくる。
シラフならね、
「もー、やめてよー。」とか、
そんな風に返せたんだけど、
ほら、2人とも酔っちゃってるからさ。
「え、どうしよ。
翔さんの事、泣かせちゃった…。」
「ふふ、そーだぞー。
誰か他の人に慰められて、
ころってなっちゃうかもよ?」
「え…。」
大野さんはケラケラ笑ってるけど、
俺はそれどころじゃない。
「どうしよ。
翔さんが、翔さんが。」
「ちょ、にの。落ち着いて。」
俺の慌てっぷりに、
茶化してた大野さんまで焦ってる。
大野さんがどれだけ宥めたって、
プチパニックの俺には聞こえない。
それどころか、しまいには
「翔さぁーん…っ、うぅっ、ひっく。」
「あーあー。泣かない泣かない。
翔ちゃんがころっていくわけ
ないでしょ?ね?」
泣いちゃって、もう散々荒れて。
「翔さぁん…。
ごめんなっ、さい。っ。」
「大丈夫だ、大丈夫。」
「だって、大野さんが、
言ったんだもっん。
ころっていっちゃうって…っ。」
自分で声に出したら、
さっきよりも涙が出てきて困った。
大野さんの家でどれだけ呼んだって、
来るはずなんかないのに。
ようやく涙も収まった、
と思ったら、今度は眠たくなった。
「んんー…っ。」
「にの?ここで寝たら、
腰に悪いよ?」
「んー。」
「もー…。
お風呂入っておいで?」
「んー。」
もう頭はふわふわしてて、
夢の中への入口をさ迷ってる。
もう少しで落ちるって時、
「大ちゃーん♡」
玄関から馴染みの声。
