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DAYS

第23章 僕を焦がしてる S×N








触れるだけのキスが、
深いキスに変わるのに、
そう時間は掛からなかった。



唇を離すと、俺たちの間に銀の糸が伸びる。



翔さんの顔見れば、


「…ずいぶん積極的じゃん?」


にやって顔してる。

何かのスイッチが入った時の顔。




「だって、欲しかったんだもん。」
「素直だね、今日。」


相葉さんと同じ事を言われるし。


でもね、俺も分かってる。
今日は素直だってこと。



だってね。

今日は努力しよう、って誓ったから。


いつも、伝えられない事が
いっぱいあるから。



「…いつも素直じゃなくって、
ごめんね…。」


これもいつも言えない事。


本当は言いたかった。

大好きだってこと、
ずっと伝えたいのに。




「いいんだよ。」


翔さんはそう言ってくれるけど、


「翔さん、優しすぎるよ…。」
「え?」

「俺だったら嫌だもん。

自分の気持ち言えないクセに、
ヤキモチだけ妬くし。

すぐに拗ねるし。
…ゲームばっかりだし。

可愛いこと何にも出来ないし。

全然素直じゃないし…。」



並べただけでも…

俺ってひどいやつだ。



俺のどこがいいんだろ。

何で俺がいいんだろう。



「そういう所が可愛いんだけどね。」
「…へ?」
「和也の全部が好きなんだよ。」



その一言だけで、充分幸せで。

充分過ぎるくらい幸せで。



「…っ、翔さぁーん…。」
「まだ泣いちゃうの?」
「だって、だって。」
「可愛いけどね…?

笑った顔が見たいな。」



あぁ、この顔。

俺だけに見せる、この顔。



その顔が好きだ。

堪らなく好きだ。




そうしたらまたキスしたくなって。


愛したくて。

愛して欲しくて。



「翔さん…。」
「翔って呼べよ。」
「…ねぇ、翔。」
「ん?」


翔はきっと気付いてる。

俺が何を欲してるか。


だって、俺たち分かるんだよ。


でも絶対にくれない。


今日の翔は、いつになく意地悪だ。



「…キス、ほしい。」
「キスだけでいいの?」



ほら。


やっぱり翔は意地悪だ。

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