
DAYS
第23章 僕を焦がしてる S×N
「…もっと…。」
「もっと?」
「もー!恥ずかしい!」
「ふふ。和也は可愛いなぁ。
どうして欲しいの?
素直に言えたら、ちゃーんと
あげるから。」
そう言って不敵に笑った翔。
唇をぺろっと舐める仕草。
その全部に、心臓がどくんと
ひときわ大きく鼓動した。
「翔。
…シテ。」
「和也のお望み通りに。」
ゆっくりと翔の顔が近づいてくる。
…キスだ。
目を瞑って待つけど、
一向に触れてはこない。
おかしいな、と思って、
目を開けて見てみると、
「キス、待ってんだ。
かーわいーい。」
「っ!」
翔の言葉に顔が真っ赤になったのが、
自分でもよく分かった。
「翔、悪趣味!」
俺の精一杯の抵抗も、
「その悪趣味が和也は、
好きなんだもんね?」
って言われちゃって。
もう何にも返せない。
うんともすんとも言えない。
だって、本当なんだもん。
「好きだけど…。
そんな翔も好きだよ。」
言葉にすると、
「…そうきたかぁ。」
はぁ、とため息が漏れてる。
翔のほうを見ると、
「え。翔、大丈夫?
熱あるの?」
「違う違う。元気元気。」
「でも、顔が赤いよ?」
首を傾げると、さらに翔の顔が
赤くなる。
「翔、りんごさんみたい。
本当に熱ない?
しんどくない?」
「大丈夫だから!」
「でもー…」
「照れただけ!」
半ば叫ぶように言い放って、
ばっと両手で顔を隠してしまった。
え。
そういう事だったの?
肩をぷるぷる震わせて、
必死に恥ずかしさに耐えてる翔。
体を小さくしてる。
「翔、可愛い。」
「可愛くねーわっ。」
なんだ。
翔はいっつも余裕があって。
いっぱいいっぱいになるのは
俺だけかと思ってた。
でも違うんだ。
翔だって、一生懸命なんだ。
翔だって、
「俺の事、好きなんだね。」
「今さらじゃん。
好きだよ。
愛してる。」
ずるいよ。
さっきまで真っ赤な顔してたクセに。
急にそんな顔しないで。
