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DAYS

第23章 僕を焦がしてる S×N







「飲んでくれないの?」
「いやいやいや…。

これ、めっちゃ辛いんだからね?」



自分の体なのに、
自分で上手く制御出来なくなる。


快楽に溺れていく。

体全部が熱くて、
体全部が性感帯になっていくような。



…気持ちいいんだよ?
そこは否定出来ないんだよ。

かと言って、使われたい訳じゃない。




翔との行為には、愛がたくさんある。


形あるものをちゃんと残せない俺たち。


だけど、この瞬間だけは
意味のあるものとしてずっと残って
いくと思う。


翔のくれた言葉とか。
翔の鼓動の速度とか。
翔の吐息の熱さとか。
翔の色っぽい顔だとか。


だからこの行為は好きだよ。


だけど…


「自分が自分じゃなくなるって
いうか…。

おかしくなっちゃうんだもん。」
「…それが見たいのに。」
「え?」
「いや、何でもない。」



小声だけど、ちゃーんと聞こえた。


俺の恋人はどうしようもない変態。



「ね、飲んで。」
「やだ。
飲まなくったって、気持ちいいもん。」
「そうだけど…。

飲んでよ。
乱れた和也が見たい。」
「尚更やだよ…。」


そんな姿、翔に見せたくない。


「飲まないなら、
俺が飲ませちゃうよ?」
「なんでそうなるの…。」
「とにかく飲んでよ。」
「それ、辛いんだってば!」
「俺だって辛かったよ!」



さっきまでとは明らかに違う
翔の声。

その声の大きさに、
思わず体が跳ねた。



「帰ってきたら、和也がいなくって…。
どこ探してもいなくって…。

怒らせた原因もよく分かってなくて、
不安だったんだ…。」


うっすら瞳に涙を浮かべてるように
見える。



…そうだよね。

俺、いっぱい迷惑かけたよね。

いっぱい心配かけたよね。



「分かった。…飲む。」


気は進まないけど…。

翔が望むことは、出来る限り
したいし、応えたい。


俺がしぶしぶ返事をしたら、



「今、言ったな?」


あれ…?


何だか嫌な予感がして、
翔の顔を見れば、


またあの顔だ。

あの不敵な顔。



…やられた。

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