DAYS
第23章 僕を焦がしてる S×N
「はい、じゃあ飲もうねー。」
「え、ちょっ、ちょっ!」
「何?
さっき飲むって言ったじゃん。」
「いやいやいやいや。」
俺ね、本気で翔のことを傷つけちゃった、
って凹んでたんだよ?
本気でごめんなさいって思ってたの。
なのに…
右手には小瓶持ってるしさ。
格好いい顔が台無しになっちゃうくらい
ニヤけちゃってるしさ。
「飲むって言ったよね?」
「はい…。」
「いい子だね。」
そう言うと、
口開けてって耳元で囁いて
小瓶をそっと傾ける。
「んんぅ…。あっまい…。」
「そう?…ふふ。」
喉を通すのが苦しいほど、
甘ったるい。
うぇーってなってたら、
「さ、寝よっか。」
「は!?」
翔の言葉に、思わず大きな声が出た。
「え?…寝ないの?」
「いや…。
寝るっていうか…。えっと…。」
だって、人に媚薬飲ませといて…
寝るって有り得なくない?
「お風呂、入ってないから…。」
「ああ。
じゃあ、先に入っておいでよ。」
苦し紛れの言い訳も、
するりと交わされて。
しかも、お風呂別々だし。
「何なんだよぉ…。」
体をすべて洗い終わって、
湯船に肩まで浸かる。
ぶくぶくと口から出た空気の音と、
ぴちゃんって音がよく響く。
翔の考えてることが
全く分かんない。
飲んだはずなのに、
体に変化は一切ないし。
「からかわれただけ?」
本当は、ただのあまーい
砂糖水だったとか?
「分かんないよー…。」
薬の正体も、翔も分かんない。
「…もう今日は寝よ。」
何だか気分も萎えてきちゃって、
そんな気分も吹っ飛んだ。
さっきまであんなに翔が
欲しかったのに、
あ、いや、今も欲しいんだけど、
眠気に負けちゃってるっていうか。
「翔。俺、上がったよー。」
リビングに行くと、
「じゃあ、次俺がいくね。」
読んでた新聞紙をたたんで、
スタスタとお風呂場に行っちゃった。
「どうしよう…。」
眠たいけど…
翔が上がってくるまでは起きとこう。