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DAYS

第24章 じゃなくって A×N








その穴が広がっていく時は、
決まっていた。


ニノの隣に、俺じゃない誰かがいる時。








「大野さーん。」
「んー?」
「膝貸して。」
「うぉい。」


寝てるリーダーの膝の上で、
ゴロンとしてゲームしてる。



リーダーは眠そうな目を擦りながらも、


「もー…。」


小さなため息を1つ吐いて、
ニノの頭を愛おしそうに撫でてた。




こんな光景、嵐じゃよくある話。

日常的なこと。

特にニノとリーダーだし、
仲がいいのも、スキンシップが多いのも
分かる。


…けど。



そんな『いつも』が、
俺のモヤモヤを広げてく。

強くしていく。




「相葉くん?」
「…。」
「相葉くん?大丈夫?」
「…あっ、翔ちゃん!
大丈夫!大丈夫!」
「ほんと?
さっきからそればっかりだけど。」


よほど難しい顔をしてたのか、
俺の顔を覗き込んでる。


やっぱり言えない。

ニノを見てたらモヤモヤするって。



「もー、翔ちゃんは心配症だなぁ。」


大丈夫だよって言葉を、
ヘタクソなウィンクと一緒に
翔ちゃんに贈ったら、

やれやれって顔してる。






「嵐さん。そろそろお願いしまーす。」
「はーい。」


収録前の廊下。


松潤とニノとのツーショットが
目の前に見える。


松潤の眉毛を触ってるニノと、
それを必死で止めてる松潤。

どっちもめっちゃ笑ってるし。


…俺には見せてくれないのに。




翔ちゃんみたいに、甘えてくれないし。

リーダーみたいな、距離感もないし。

松潤みたいな、親友みたいな
雰囲気もない。


俺らの間にあった仲のよさも、
嵐の中じゃ特別に見えなくて。



俺だけが、アイツから置いてかれてる
気がして。





収録中に、翔ちゃんとやたら
絡んでるアイツも。

リーダーのことをいじってるアイツも。

松潤との絶妙なコメント合戦してる
アイツも。


どれも俺を見てくれてない。




あれだけ一緒にいたのに。




ぽっかり空いた穴は、
俺だけじゃなくて、

松潤も、リーダーも、翔ちゃんも
呑み込む黒い渦になっていった。

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