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DAYS

第24章 じゃなくって A×N









そのあと、にのは喋らなかった。


かと言って、酒を飲む量が
増える訳でもなくて。



それが余計に、俺を分からなくさせて。


こんなに居心地が悪いのは
初めてだった。






少しほろ酔いになってきた頃。

お酒の入った頭の片隅で、
ずっと感じてた思いが出てくる。



ずっと聞きたかったけど、
聞けなかった。


聞いたら、『いつも』が変わりそうで。



だけど、知りたかった。

全部をお酒のせいにしようと思った。




「ねぇ、にの。」
「…なに、相葉さん。」
「にのは、何で俺の家に来るの?」
「…迷惑なの?」
「迷惑ってわけじゃないけど…。」
「じゃあ、何なの。」


少し焦ってるような、イラついてるような
口調のにの。


見たことのない表情をしてる。


苦しそうな、悲しそうな。


だけど、横顔は憎らしいほど

綺麗で。


だからなのかな。

だから、余計にモヤモヤしてるんだ。




「何で、俺なの?」
「…は?」
「いっつも翔ちゃんに甘えてるじゃん。
リーダーと、仲良くしてんじゃん。
松潤とだって、楽しそうじゃん。


何で俺なの?

にのは、何で俺のとこに来るの?」

「ダメなの?」
「ダメとかじゃなくて…。」
「じゃあ、いいじゃん。」
「いや、でも。」
「もー、いいんだってば!」



さっきよりも、大きくなった声。

ひときわ高くなった声。


ちゃんと聞いとけば、にのが
苦しんでるって分かったのに。

お酒のせいにした俺には、
分からなかった。


分からないことにしてた。




にのの突然のその言い方に、
カッときてしまった俺がいた。



「俺がよくねーよ!

何で俺なんだよ!
分かんねーんだよ!


こんなとこにいる暇があったら、
翔ちゃんのとこにいったら?
それとも、リーダーのとこ? 松潤?」


自分でも分かるくらい、嫌な言い方をした。



言ったあと、自分が言ったことを
理解して、

後悔した。



だけど、遅かった。





にのは、一滴の雫で床を濡らして。


それだけ残して。






気が付いたら、1人だった。

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