
DAYS
第24章 じゃなくって A×N
「ん。」
大野さん手には、マグカップ。
湯気とともに、コーヒーのいい香りが
部屋に充満してる。
「わざわざごめん…。」
「ん?
あー。いいよ。俺が飲みたかったから。」
まだ少し緩い口調が残ってる。
そりゃそーだよ。
さっきまで寝てたんだもんね。
「ごめん…。」
「さっきからそればっかりじゃん。」
「でもー…」
「何があったの?」
大野さんの瞳は、こんな時にまで
優しかった。
どこまでも、深い愛と、
その奥にある悲しみが見え隠れする。
そんな瞳に、甘えたくなった。
「今日、久しぶりに相葉さんの家に
行ったじゃん?」
「うん。俺が言ったしね。」
「うん…。」
大野さんに、楽屋で言われた。
「脈、あるんじゃない?」って。
押してダメなら引いて作戦が、
効いてきてるって話をしてた。
まだ気持ちを伝えることは、
しないでおこうと思ってたけど、
だけど、そろそろあと一押しってとこまで
持っていきたくて、
今日…あ、もう昨日か。
相葉さんの家に行ったんだよ。
「普通に2人で飲んでたらさ…。
聞かれたの。」
「…何を?」
「何で俺のとこに来るのって。
正直に言えなかった。
怖かったんだよ…。」
怖かった。
心のどこかで、期待してる自分が
怖かった。
それを裏切られるのが、何よりも怖かった。
「言えなかった。…好きだって。
そしたら…っ。」
「ニノ?」
「ごめんっ。」
相葉さんの言葉が、何度も何度も
頭をリピートする。
痛いくらいに、聞こえてくる。
嫌なほど覚えてる。
「もういい。言わないでいいからー…」
「他のやつの所に行けば?って…っ。
翔さんとか、潤くん、とかっ。
大野さんのところに、行けって…っ。」
泣きじゃくる俺を、
大野さんはぎゅっと抱きしめてくれた。
「ごめん。俺のせいだ。」
違う。
そう言いたかったけど、言えなかった。
相葉さんも、大野さんも悪くない。
怖くて逃げた俺が悪い。
だけど、逃げ道が欲しかった。
