
DAYS
第24章 じゃなくって A×N
いくら待ってもにのの姿は見えない。
夜は更けて、さらに冷え込んできてる。
「…どこ行ったんだよ…。」
近くの自販機で買ったコーヒーを
持って、少しでも体を温めようとする。
だけど、そんなの一瞬で。
「…くしゅっ。
はぁ…。さむ。」
相変わらず電話は繋がらない。
マンションに帰ってくる
気配もない。
待っても、
待っても。
アイツは帰ってこなかった。
「帰らなきゃ…。」
外が明るくなってきてた。
携帯で時間を見れば、
5時前。
自分が今まで何をしてたのか、
全く思い出せない。
ずっと、ブランコに乗って
小さく揺れ続けてた。
キーキーって、少し嫌な音が
絶えず聞こえてた。
あんなヤツ、待ってたって
仕方がない。
帰ってこないんだってどれだけ
頭に言い聞かせても、
心がそれを分かってくれなくて。
少しの希望にかけて、
この時間まで待ってた。
「そろそろ帰ろ。」
このセリフも何回目なんだろ。
だけど、どうしても足が動かない。
体が重たくって動けないの。
やっと決心がついて、
ぐっと足に力を込めて立ち上がると、
「あ…。」
立ちくらみがきた。
自分でも分かるほど、
体調がすこぶる悪い。
「熱っぽい…。」
とにかく早く帰らないと。
車に乗って、マンションに着いて、
玄関を開けたのまでは覚えてる。
次に記憶があるのは、
ひっきりなしになってる
電話の音と、インターホンの音。
慌てて携帯をとると、
「相葉さん!
急いでください!」
「あ…ごめん。」
マネージャーからだった。
そんなに時間経ってたのか。
時計を見れば、15時。
服装も昨日のまま。
お風呂にも入ってない。
「あと30分だけ時間ない?」
「ないです。」
「じゃあ、10分!」
しぶしぶマネージャーの許可を
もらって、超特急で用意する。
熱は上がってるみたいで、
クラクラする。
少しでもバレないようにって、
マスクにニット帽を被って
マネージャーの車に乗り込んだ。
