
DAYS
第24章 じゃなくって A×N
ほんの一瞬の出来事。
時間にすれば、わずかな時間。
なんだけど、
全てがスローモーションに見えた。
さっきまでの距離よりも、
ぐっと近くなったにのとの距離。
熱い吐息が、俺の肌に届くほどの距離。
リアルなはずなのに、
夢のような。
何だか頭がぼーっとしてて、
上手く状況を把握出来なかった。
「…え。」
「わ、あ、あ、ああ!」
俺の目の前で、あたふたしてるにの。
顔が、ゆでダコみたいに赤くなってる。
…そんな反応されたら、期待するよ。
やっぱり…。
好き、なんでしょ?
自惚れなんかじゃない。確信
…なはず。
そんな冷静なことを考えて
いられたのも、少しだけ。
だんだんと状況が理解出来てきて、
にのの赤い顔をみてー…
「あ、あああ!」
「わ!どうしたの?」
突然叫んだ俺を見て、
みんながびっくりしてる。
俺キスしたよね?
にのとキスしたよね?
キスしたことは、なかった訳じゃない。
コンサートとかで、ちょっとしたノリで
やったりとかはあったけど…。
あの時、自分の気持ちに
気がついてなかった。
意識した途端、これだから。
恥ずかしさとか、嬉しさとか、
色んな感情が一気に流れ込んでくる。
にのの顔を見れば、さっきのキスが
フラッシュバックする。
こんな状況と熱のせいで、
俺の頭はキャパオーバーした。
「え!ちょ、相葉さん!?」
「相葉くん!?
え、嘘。相葉くん!?」
そのまま硬い地面に、
ゆっくりと倒れ込んだ
と思ったら、ふわっと香る匂いと、
暖かい腕。
誰なのかすぐに分かった。
アイツの腕の中にいるって考えたら、
それだけでもうダメで。
「松潤、マネージャー呼んできて!
智くんはスタッフさんに
説明してきて!」
「相葉さん!聞こえる!?」
翔ちゃんの鋭い声。
…にのの少しだけ震えた声。
ごめんね。大丈夫だよ。
ちゃんとお前の声、聞こえてるよ。
言いたかったけど、声にならなかった。
そうしてる間に、
真っ白の中に意識が吸い込まれてった。
