DAYS
第4章 In Love With Love M×A
腕を引かれるままに、翔さんの車に
乗り込んで、行き先も告げられぬまま
車を颯爽と走らせる翔さん。
行き着いた先は、お洒落なレストラン…
ってよりも居酒屋って感じの、
完全個室のお店だった。
「とりあえず、何か食べよっか。
今日は俺の奢りだから、まぁ食えや。」
って、メニューをぽーんと
俺の前に渡してくれる。
「いや、俺が出すから。
相談に乗ってもらってる側だし。」
「いいのいいの。一杯目、ビールでいい?」
「え、ああ、うん。」
「じゃ決まりで。」
すぐに店員を呼んであれこれ注文してる。
注文が終わると、また少しの沈黙が流れる。
こういう対応が、大人だなって思う。
様になってる?っていうかかっこいい。
さりげなく、紳士的な感じが?
これが雅紀だったら、
きっと何にも決まらないままに、
「かんぱーい♪」
って、一人で先に飲んでる。
大抵は飲んでる。
そんなことを考えていると、
くすって笑い声が漏れてしまう。
「何笑ってるんだよ。」
「あ。ちょっと思い出してた。思い出し
笑いだよ。」
「あー…。」
ニヤニヤしながらこっちを見てる。
前言撤回。
全然大人じゃないじゃん。
そんなことを考えていると、
ビールが運ばれてきて、
「乾杯。」
って触れたガラスから高い音が抜ける。
「ぷはぁー」
翔さんがビールを一気に半分ほど
飲み干した。
「翔さんが親父化…。」
「うるさい。あ、それよりさ、
何があったの?」
あとから持ってこられた
ビールのつまみを食べながら、
翔さんが聞く。
「いやぁ…たぶんね。」
雅紀がああなってるのは、
たぶん昨日の事が原因だと思う。
昨日は、仕事が終わってから
二人で俺の家で飲んでた。
所謂、『宅飲み』っていいやつか。
職業上、外でゆっくり
出来る方が難しいし。
羽根を伸ばせるっていうのと、
量もだいぶ飲んでたから、
どちらも上機嫌だった。