テキストサイズ

DAYS

第4章 In Love With Love M×A




「じゅーーんっ♡」

雅紀が出来上がり具合のとき、
同じくほろ酔いだった俺も

「ふふっ。雅紀。」

あぐらの上に雅紀を乗せて、
後ろから抱きしめた。


時々、
とろんとした瞳をこちらに向けながら、

「潤…。」

って、甘く俺の名前を呼ぶ。


キスしようと、唇を近づけると、
目を閉じて俺を待ってる。


素直なんだよ、どこまでも。
信頼されてるっていうか。


雅紀って、
雰囲気もふわふわしてるし、
甘えん坊っていうか絶対に
人の近くでちょこんって座ってるし。


ーウサギみたいで可愛いよなあ。

華奢な体は、綺麗で。
甘い香りを纏わせてる。

香水とか、そんな人工的な香りじゃなくて
とにかく落ち着く匂い。

とにかく、可愛いんだよなぁ…。


そんなことを考えてたら、
すっかりキスするのを忘れてて

「ふふっ。」

って思わず一人で笑ってしまう。

そんな俺に気づいた雅紀は、

「ひどい…。キスしてくれないの?」

その言葉で、はっとして我にかえると、

ー…瞳が潤んでる。
目の淵に溜まった涙は今にも零れそうで。


「ごめんー」
「しかも、さっき笑ってたし…。」
「いや、それは、えっと…。

雅紀がウサギみたいで、なんか、その。」

可愛いって言葉を、普段口にしないから、
躊躇ってしまう。

言えずに、口を濁していたら、
雅紀が突然


「ウナギってどーいうこと!?」
「は!?」
「俺、そんなに気持ち悪がられてたんだ…。」
「いや、違うって。俺が言ったのはウサー」
「もういいよ。…そうだよね。
ウナギみたいなやつと、キスなんて
したくないもんね…。」


雅紀の目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。

不謹慎なんだけど、それはすごく綺麗で。
ガラス玉みたいな目に吸い込まれそうで。

何も言えずに見惚れてたら、

「もう帰る…。」

そう言って、荷物をパッと持って
玄関へと向かう雅紀。

「え、ちょ待てよ。誤解が」

掴もうとした手を振りほどかれて、
挙句の果には

「潤のばかぁ!」

なんて言うさり際のセリフを残されて、
さすがに腹が立って。

変なプライドが邪魔して、
追いかけられなくて。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ