
DAYS
第26章 熱さまシート S×A
俺をぎゅっと抱きしめたまま、
ふるふると震えてる雅紀。
雅紀の腕の中から、ひょっと
雅紀の顔を覗いてみると、
涙をいっぱいに溜めて。
唇を噛んで俺の方を見てた。
「雅紀、ちょっと離して。」
「やだぁ…。」
「やだって…。」
「だって、翔ちゃん、
どっかに、行っちゃうからぁ…っ。
やだ。今日は、一緒…っ。」
泣きじゃくりながら、
必死で言葉を紡いでて。
さらに俺をぎゅっと抱きしめる。
もう可愛くて仕方がない。
愛おしくて仕方がない。
大好き、愛してる以上の言葉がほしい。
どうすれば俺のこの気持ちが
届くんだろうかって、時々考える。
「ちょっとだけ。
ちょっとの間だけ離れて。」
「やだやだ。」
「俺が雅紀のこと、ぎゅってしたいから
ちょっとだけ離れて。」
「へ?」
予想外の言葉だったのか、
ちょっと間抜けな声が出てる。
力が緩んだすきに、雅紀の腕から
ひゅっと抜け出すと
気持ちをたっぷり込めて抱きしめた。
俺の首筋に、雅紀の吐息がかかる。
やっぱり熱のせいか、
熱い吐息。
速い鼓動は、どちらのものか
分からない。
そんな近い距離に、
ますます心臓はうるさくなる。
どれだけ体を重ねたって、
何度でも雅紀を好きになる。
「雅紀。」
名前を呼べば、俺を見つめてくる。
この距離、俺だけだから。
雅紀の熱が移ったのかと思うほど、
どんどん体が熱くなる。
澄んだ瞳で、じっと俺を見てる雅紀の唇に
軽く触れるキスをする。
啄むような軽いキス。
「ん…っ。は…ぁ。」
それだけでも、雅紀からは
色っぽい声が漏れてくる。
もっと聞きたくて、
少し開いた隙間から舌を割り込むと
「んぅ…っ、ぁっ、ふぁ…。
っはぁ。
翔ちゃ、風邪移っちゃ…っんん。」
そんなの気にしてほしくないから、
また黙って唇を塞ぎ込んだ。
「雅紀の風邪なら、
いくらでも貰ってやるから。
煽ったの、雅紀だから。ね?」
怯えてるように見える瞳。
だけど、俺は知ってる。
それは期待してる証拠だってこと。
