DAYS
第26章 熱さまシート S×A
だけど、翔ちゃんは俺に抱きついたままで
離してくれなくて。
翔ちゃんの腕はやっぱり力強くて。
全然子供じゃないじゃん。
1人でうんうんと唸りながら、
必死に格闘して。
何とか腕からは抜けたんだけど、
「あ…。
もー…翔ちゃん。」
俺のスウェットの端を
きゅっと握ってる翔ちゃんの手。
赤ちゃんみたいにすっごい力で
握ってるもんだから、全く動けなくて。
訂正。
やっぱり翔ちゃんは子供だよ。
「ご飯、作りたいんだけどなぁ。」
翔ちゃんのために、
おかゆの1つでも作ろうと思ってたのに。
まぁーくん特製 たまごがゆだよ♡
とか言いたかったのに…。
「これ脱ぐしかないか。」
冷蔵庫の中の卵の数を思い出しながら
すぽんとスウェットを脱ぎ捨てて、
ベッドからそーっと脱げたし
たかったんだけど、
「え!わぁっ!」
翔ちゃんの腕がにゅっと伸びてきて、
その腕の中にすっぽり収まってる俺。
「んふふ…、雅紀ぃー…。」
甘い声の寝言に、
思わず体がびくっと反応した。
その声はずるいでしょ。
上半身素っ裸の俺に、
熱出てる翔ちゃん。
「翔ちゃーん。」
名前を呼んでみたところで、
返事があるわけなく。
もともと体温も高いほうだし、
翔ちゃんの体も暖かい…というか
熱いから、寒くはないけど、
「たまごがゆ…。」
出来るお嫁さんになるために
頑張りたかったのに…。
そんな俺の気持ちを知るはずもなく、
翔ちゃんはすやすや寝てる。
熱のせいもあってか、
いっぱい汗をかいてるみたいで、
その熱気が俺まで伝わってくる。
「でも寝てくれてよかった。
早く良くなるといいけど…。」
オフは3日ある。
旅行はキャンセルしなきゃいけないかも
しれないけど、2人でゆっくりする時間が
出来たと思えば十分かな。
「雅紀、激しい…ね。」
聞こえてきたのは、ぽろっと漏れた
翔ちゃんの寝言。
「どんな夢見てんの…。」
失笑してしまう。
でも夢の中まで一緒ってだけで
嬉しいって思う俺は、
もうどうしようもない翔ちゃんバカだ。