DAYS
第27章 時計じかけのアンブレラ Ⅰ S×A
収録も終わって、
お疲れ様モードの楽屋。
みんな各々に帰り支度を始めてて。
いつもは雅紀、あんまり早い方じゃ
ないんだけど、
今日は違うみたいで。
尋常なスピードでぱぱっと
用意を終えてしまうと、
「ねぇ、翔。まぁーだぁー?」
俺にくっついて、離れない。
くっつかれちゃうと、
用意できないんだけどなぁー…。
だけど、こんな雅紀も可愛いからって
許しちゃう俺。
雅紀に甘いのは、
惚れた弱みってやつで。
…いや、だけどちょーっと
離れてくれないと出来ないんだよ。雅紀。
「もーちょっと待ってて!」
「翔さんも大変ですね。
今どきの子供よりも
大変そうですよ。」
「もー、にのちゃんうるさい!」
ゲームをしてるニノを、
後ろから羽交い締めにしてる。
そんな様子を微笑ましく見てる、
松潤
…と、そんな松潤を膝枕にして
気持ちよさそうに寝てる智くん。
相変わらず仲がよさそうで、
そんな光景にもほっこりしてる俺。
最近、母性本能が出てきてる気がする。
あ。
でっかい子供が近くにいるからか。
「ちょ、あいばか!」
「あいばかじゃないもーん。」
髪の毛をわしゃわしゃし合って
じゃれてる2人。
そんな光景に、いつも嫉妬してる。
でも本人はまったく気が付いてないのが
タチが悪い。
今日の俺はちょっぴりブラックだ。
こういう時は、早く帰るに限る。
自分の心の中が雅紀で
いっぱいになる様に。
雅紀をぎゅっと抱きしめられる様に。
用意できたよって、
ニノとたわむれてる雅紀の方を
振り返って見ると、
…あれ?
ニノ、顔赤くなってない?
何だか胸騒ぎがした。
耳まで真っ赤にしてるニノに。
深いモヤモヤにはまりそうに
なった時、
「しょーう?」
「あ。
…帰ろっか。」
「うん。」
嬉しそうに、俺の手をつかむ。
「じゃあ、お疲れー。」
楽屋を出る間際、
チラッと覗いたニノの顔は
辛そうで。苦しそうで。
それに気が付かないフリをして、
雅紀の手をぎゅっと握り直して、
足早にその場を去った。