DAYS
第27章 時計じかけのアンブレラ Ⅰ S×A
ニノの気遣いのおかげか。
少しだけだけど、気持ちが落ち着いた。
「ニノ、ありがと…。
…あと、ごめん。」
今度は俯かずに、目を見て言うと
「大丈夫です。
…俺は、そんなに感謝されるような
人間じゃないですから。」
「何それ。」
その謙遜の仕方が、何ともらしくて
思わず笑ってしまった。
ニノも、
「ホント、何でしょうね。」
そういって笑ってた。
笑ってたはずだった。
なのにまただ。
また、あの顔をしてた。
寂しそうな、苦しそうな顔。
一瞬だけ見せたその顔に、
「ニノ?」
なぜか心配する気持ちよりも、
嫌な予感のほうが強くて。
だけど、それも思い違いだったのか、
「ん?どうしたんですか?」
そう優しく微笑んで言ったニノの顔は、
いつもの顔になってたから。
それ以上は聞くことが出来なくて、
「いや、何でもないよ。」
そう言うしかなかった。
そう言うことしか出来なかった。
まただ。
また、見て見ぬふりをしてる自分がいて。
ふぅっと小さく息を吐いたら、
「疲れてるんでしょう?
少し横になったらどうです?」
「いや、大丈夫…。」
俺がここに居たい理由を
分かっているのかそれ以上は
何も言わないニノ。
それからは、また静寂が訪れて。
だけどそんなに時間もたっていない内に、
「翔くん、ニノ。」
「智くん。松潤…。」
「相葉くんは?」
「まだ中に…。」
そっか…。と、2人が漏らす小さな声。
2人とも、他のみんなと同じように
赤いランプを見上げて。
「翔くんは?ケガとかない?
一緒にいたんでしょ?」
智くんの言葉。
『一緒にいたんでしょ?』
その言葉だけがピックアップされて
頭の中でリピートされてて。
そうだよ。
一緒にいたんたよ。
そのクセ、何も出来なかった。
アイツは他のヤツのことを見てた。
何も出来なかった。
智くんの言葉が
『一緒にいたのに、
何も出来なかったの?』
そう言われた気がして。
「ちょ、翔くん!?」
息が出来なくて、
視界が真っ黒になった。