DAYS
第27章 時計じかけのアンブレラ Ⅰ S×A
「ほら。これで汗をちゃんと拭いて。」
智くんがタオルを渡してくれた。
「ありがとう…。」
「自分で出来る?
ふらふらしない?
俺がしようか?」
俺のことをひどく心配してくれて
いるようで、いつもはここまで多くは
喋らない人なのに、捲し立てるように
話をしてる。
そんな智くんが面白くて、
くすっと笑ってしまったら、
「あ、翔くんが笑った。
ひどいなぁー…。」
ぶーぶーと、拗ねた子供みたいなことを
してる智くん。
また笑いが零れるのは、
もう仕方ないことだと思う。
「翔くんも疲れてたんだよ。
もう少しゆっくりしておきなよ。」
智くんが、ペットボトルのキャップを
開けながら、俺に言ってくれる。
「でも、雅紀がー…」
「心配なのは、分かる。
でも、翔くんまで倒れてどうするの。」
優しい口調だけど、
有無を言わせないような迫力があって。
何も言えなくなって、
下を向いて俯いた。
すると、頭をぽんぽんと撫でられる感覚。
智くんの優しい手。
「意地悪してる訳じゃないからね。
翔くんが心配だから…。
相葉ちゃん、さっき手術が終わってね。」
「え!?」
布団から飛び出て、
ベッドから出ていこうとすると
「ダメ。
まだ気分よくないでしょ。
顔色悪い。」
「でも!」
「でもじゃない。」
頭を撫でてた手に力をぐっと込められて、
ベッドへと押し戻された。
「行きたい気持ちも分かる。
相葉ちゃん、意識が戻ってないの。
全身は打撲ですんで、骨折とかの
目立った傷はなくて。
だけど、頭を打ってたみたいでね。
傷はそんなに深くないんだけど、
打ちどころがあまりよくないみたいで。」
それを聞けば
ますます雅紀のところへ行きたくなって、
「やっぱり俺ー…」
「ダメ。
翔くん、無理するでしょ?
夜通し起きて、ずーっと相葉ちゃんの
そばにいるんでしょ?
2人して、倒れてどうするの。
相葉ちゃん、そんなの望んでないよ。」
智くんのリーダーらしいその言葉に、
思わず涙が出た。