DAYS
第28章 ヤキモチの答え M×A
エプロンの裾をぎゅっと握って。
目を固くつむって、唇をきつく噛んで。
上目遣いで俺を見てる。
そんな雅紀を見て、
心臓がどくんっと大きく跳ねた。
朝からしんぞうに悪いよ。
こんなのならウェルカムだけどさ。
言ったあとで、自分の言ったことの
大変さに気が付いたみたいで
「あ…。」
小さく声を出すと、
それっきり下を向いてしまってて。
そんな雅紀が可愛くて、
ついつい笑い声が漏れる。
そんな俺に、
「潤のばかぁ…。」
「うん。俺、バカでいいよ。
雅紀に関しては。」
ストレートに言葉にすれば、
もっともっと可愛くなる。
「ほらほら。
遅れちゃうから。ね。
雅紀は座ってていいよ。」
俺が作るからいいよって言うんだけど、
「やだ!俺がする!」の一点張り。
しょうがないから、キッチンのほうは
あずけて、シャワーを浴びることにする。
浴室に入っても、
「あ!」
「わ、焦げちゃうよー!」
キッチンから聞こえてくる、
慌ただしい音。雅紀の声。
雅紀の様子を思い浮かべて、
顔がゆるむのが分かる。
どこにいたって、雅紀を
感じられるこの空間が好きだ。
「俺って、こんなにバカだっけなぁ。」
恋愛に関して、結構ジェントルというか、
スマートに格好よくやってきたつもりだ。
だけど、雅紀の前だと
イマイチ決まんない。
でも、それも嫌じゃなくて。
そんな俺も好きだって言ってくれる
雅紀だから。
自分の知らなかった自分を出してくれる
雅紀には感謝してる。
「結婚っていいな…。」
日々感じること。
言葉に出してみてもやっぱりいい。
まぁ、結婚がいいって言うよりは
雅紀が奥さんだからいいって感じなんだけど。
「そろそろ出よっと。」
キッチンで奮闘してる奥さんの姿を
見に行かなくっちゃね。