
DAYS
第28章 ヤキモチの答え M×A
「はい、お疲れー。」
ニノに連れられてきたのは、
個室の居酒屋みたいなところ。
「ニノ、こんなとこ来るんだね。」
「んふ。意外?」
ビールで喉を潤して、
ぷはっと息を出すニノ。
可愛い顔してんのに、
やってること親父じゃねーか。
「それより、珍しいね。
ニノが飲まなきゃやってらんないって。」
「まぁー…ね。」
グビグビと酒を煽るニノ。
「ちょっと、ペース早いよ。
それじゃ悪酔いするって。」
「いーのいーの。」
「空腹なのにそんなに入れちゃ、
気持ち悪くなるよ?」
「いーのいーの。」
俺の言葉も聞かずに、
どんどんグラスを空けてく。
「はぁ…。おかわり。」
「もう飲んだの?」
呆れる俺を尻目に、
新しく頼んで届いたビールにすぐに
口をつけて飲んでる。
もともとそんなに強くないから、
そんな飲み方しちゃいけないって
分かってるのに。
分かってて、そんなことをしてる
ニノなんて見たことがなかったから。
「どうした?
今日変だよ。」
「うっしゃい。」
中ジョッキを3杯空けた頃には、
もうすっかり出来上がってて。
呂律も回ってないし、
気分の悪さからか机に突っ伏してる。
「もうそろそろ帰ろっか。な?」
「やだぁー…まだ飲むもん。」
いつになく駄々っ子だし。
「翔くん呼ぶ?」
「やだ。絶対にやだ。」
さっきまでの緩い口調はどこへやら、
途端に固くなる声。
「ヤキモチ焼くのも分かるけどさ、
まぁ、ね?」
「…潤くんには分かんないよ。」
「え?」
初めて聞いた。
ニノのこんなに辛そうな声。
「俺だって、ヤキモチ焼くし。
ニノの気持ち分かるからさ。」
「分かんないよ…。
絶対に分かんない。」
最後のほうは、もう声が震えてて。
よく見れば、肩も小さく震えてて。
すぐに泣いてるのが分かった。
