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DAYS

第28章 ヤキモチの答え M×A









怖いとは言っても、
やっぱり帰りたい気持ちが強くて。


だって雅紀がいるし。

雅紀に会いたいし。


タクシーがマンションの前に着いてから、
部屋の前まで行く足は急いでた。



玄関のドアの前。


何度か深呼吸をして、
覚悟を決めて手をドアに伸ばす。



「ただいまー…。」


時間も時間だし、
少し遠慮気味に玄関から声を出す。


いつものを期待しながら、
知らぬ間にワクワクしてる俺。



…なんだけど、あれ?



いつもなら、

「あ、おかえりー♡」って、
全速力で走ってきて出迎えてくれるのに、

今日は来ない。



変だな、今日。


出迎えてほしかったなぁー、
何て思いながら、

だけど疲れてるのかな?なんて考えて。


すっかり頭の中は、雅紀でいっぱい。




「雅紀?」


軽くなった足で、廊下を抜けて
リビングのドアを開ければ、


「あ…。」


ソファーの上で、
小さく丸まって寝てる雅紀。


机の上には、
空っぽになってるビールの缶がちらほら。


いつもよりかなり多い量で。


おつまみも何にも出さないで、
飲んでいたみたいで。



「珍しいな…。」


いつも飲んでても、


「何か食べながらじゃないと、
体に良くないでしょ?

ほら、何か一緒につーくろ♡」

って、しつこいくらいに言ってくれてた。



やっぱり今日は変だ。


いつもと違うことがいくつも重なって。

その小さな不安が、
どんどん胸を占めてく。



「雅紀。起きて。
風邪引くよ。」


体、そんなに強くないのに。

こんなとこで寝てちゃ、
風邪引いちゃうでしょ?


でも、俺のことを待っててくれたんだから
嬉しいんだけどね。


雅紀の肩を優しく揺らすと、


「うーん…。

大丈夫だって、翔ちゃーん…。
ちゃんと好きだって…。
隠してるだけ…。

それも大丈夫…。
俺たち、上手くいったから。

気持ちがあれば…大丈夫。」



…は?



ってか、寝言なげーよ。

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