
DAYS
第28章 ヤキモチの答え M×A
雅紀が言った寝言。
普段ならさ、
「何それ。寝言まで雅紀っぽい…。」
こんな感じで、笑ってすませる。
むしろ愛おしいくらいだよ。
でも今日はダメだった。
もしかしてさ、
翔くんと一緒に飲んでたの?
何? 好きって。
何? 大丈夫って。
何? 隠してるだけって。
何? 上手くいったって。
何が大丈夫だよ。
全然大丈夫なねーよ。
俺の気持ちは、どうなるんだよ。
何で翔くんなの?
「潤」って呼んでよ。
俺より翔くんがいいの?
なぁ、隠してるってどういうこと?
…まだ翔くんが好きってことなの?
上手くいったってさ。
2人がくっついちゃったってこと?
もしかして両想いだった、みたいな?
もうぜんっぜん笑えない。
どんどん醜くなってく感情。
分かってるよ。
醜いくらい嫉妬してるって。
だけど止められない。
膨れ上がって、
拭いきれなかった不安が
心を真っ黒に染め上げてく。
そんな俺の静かな怒りを
雅紀のすやすや眠る寝顔にぶつけたって、
返ってくるわけなくて。
だけど、ふつふつと沸いてくる感情の
行き場に困ってて。
少し強引に体を揺すって
「雅紀。雅紀。」
さっきよりも大きな声を出す。
すると、
「んー…。
あ、潤。おかえりぃ。」
ゆるゆるの口調の雅紀。
いつもなら。
いつもなら、ぎゅぅってして、
キスして、
抱っこしてベッドに直行だけど。
今日はそうもいかない。
「…ただいま。」
「ごめん、寝ちゃってて。」
知ってるよ。
寝言聞いたんだから。
心の中だけで留めて、
口には出さない。
何も言わない俺を不審に思ったのか、
「じゅーん?」
って、俺の顔をのぞき込む。
俺だけに見せる顔…だよね?
誰にも見せてない…よね?
「…潤?」
「あ…。」
不安そうな顔をしてる。
