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第28章 ヤキモチの答え M×A








じわじわと込み上げてくるものを
必死で堪えていたとき。



「…潤。」

って、俺を呼ぶ声が
俯いた俺の少し上から聞こえてくる。


寝起きの、少し掠れた
甘えるような声じゃない。

雅紀の声が聞こえた。



「え、雅紀?

寝てたんじゃなかったの?」


すぐに分かった。

雅紀が起きてたんだってこと。


雅紀は、俺の言ったことには
何も言わないで、ただ


「そんな悲しい顔、しないで。」って。

たったそれだけ言ったんだ。



「え…。」



てっきり怒ってるから、
つーんとしてると思ってた俺は
ずいぶん情けない顔をしてると思う。



「そんな悲しい顔しないで。

…ごめんね?出てって。
翔ちゃんのとこに行って…。」
「いや、違うよ。俺が悪い。」


俺がそう言うと、
雅紀が悲しそうな顔をする。



「俺、雅紀のことを信用してない
訳じゃなくって。

自分に自信がなかったんだ。」


雅紀を好きな気持ちは変わんないのに、
それを嫉妬して忘れてた。


いつだって、俺は雅紀が好きで。

とにかく好きで。


分かってたのに、そんな想いが
嫉妬に負けたんだ。


「嫉妬した、翔くんに。
…器が小さいって思うかもしれないけど。
でも嫉妬した。」
「ううん。俺がちゃんと話さなかった
のがいけないんだもん。」


だから、気にしないで。

そう言って、ふわりと雅紀は笑った。


違うよ。

俺が雅紀の話も聞かずに、
遮ったんだから。

雅紀から出てくる言葉はきっと、
自分を嫉妬で苦しめるものだと
決めつけて。何も聞かなかった。



色んなことを言わなきゃいけない。


傷つけてごめん。

話を聞いてあげられなくてごめん。

飛び出させてごめん。


だけど、何より今言いたいのは、


「雅紀、好きだ。」
「うん。俺も…。」



少し恥ずかしそうにはにかむ
雅紀を見て、

俺のことをまだ想ってくれてると
心底安心した。

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