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DAYS

第28章 ヤキモチの答え M×A





ナビにしたがって、
車を進めて行くごとに膨らむデジャヴ。


「なぁ、和。」
「何ですか。」
「もしかして、何だけど。

この道ってさ…。」
「翔さん、危ない。
ちゃんと前見て運転してくださいね。

もう少しで着きますから。」


ちゃんと前見て運転してる
つもりなのに、言われちゃって。

話を上手くはぐらかされてしまった。


こういうところで、和に勝てたことが
ないから、

「はい。」

と返事をして、ハンドルにぐっと
力を入れ直した。



もう少しで着くって言われたから、
黙って運転をしてるんだけど、

やっぱり俺、この道をすごく知ってる。


「ここです。
この駐車場に入れてって
言ってました。」
「あ…うん。」


やっぱり。
知ってるも何も、

俺の実家じゃん!?


「え、和の用事ってここだったの?」
「ええ。

翔さんの用事ってここでしょ?」
「何で知ってんの!?」


驚きのあまり、声が裏返った。

俺が今日、親に会うって言ったのは
和が楽屋に来る前だったし。

何で知ってるんだろ…。

しかも、ナビの中にもうすでに
入ってたってどういうこと?

和って…


「俺、超能力者なんですよ。」
「えぇ!やっぱり?」
「やっぱりって、何それ。」


和が腹を抑えて笑ってる。

あ、やっと敬語じゃなくなった。

そんな些細なことでも嬉しくて、
思わず顔が緩むと、

「何笑ってんの。行こ。」

そう言って、早々と助手席から
出ていってしまった。


「あ、ちょっと待って。」


慌てて追いかけると、
くるっと体を反転させて、
俺を待っててくれてる。


「ほら。翔、早く。」って、
手を差し出して。


俺は、少しだけ躊躇った。

だって、母親は許してくれてるけど、
親父は…。


そんな俺の気持ちをまた読み取るように、

「大丈夫だから。」

そう言って、俺の手をとって走り出した。

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