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第28章 ヤキモチの答え M×A





昨日、寝ないで覚悟を決めてた。

「明日は言おう」って。

その覚悟も、ここに来てしまっては
もう意味がなくなってしまった。


玄関まで来たのはいいものの、
俺の顔は死んでると思う。


「翔、顔がひどい。」


和にそんなことを言われても、
今はそんなことを考える余裕も
全くない。


ドキドキと、心臓がうるさい。

心臓が口から出ちゃいそうになる。


「ちょっと実家に帰るだけじゃん。
何自分の家なのに緊張してんの。」


バカだなぁ、なんて和は
笑ってるんだけど…。

当たり前だろ。
結婚の話をしに行くんだから。


自分1人だけなら、もっと気が楽だった。

俺1人だけなら、何を言われても
我慢が出来る。

だけど、和が一緒だから。
和に俺と同じように、傷つける言葉を
言うのは、絶対に許せない。

自分が言われるよりも、
辛いんだから。


そんなこともあって、
まだ入ることが出来ない俺。


「はぁ。」


いつまでたっても躊躇う俺に、
和が大きなため息をつく。


「入んないの?帰るの?」
「いや…。」
「じゃあ行くよ。」


あんな酷いことを言った相手に
自分から会いに行きたい訳がない。

ましてや、他人ならなおさらだ。

和はいいのかな…。


また、俺の心を読んだみたいな
絶妙なタイミングで


「俺は大丈夫。
翔も大丈夫。

だから、行くよ。」


握ってた手を、さらにぎゅっと
強く握られた。


よし。
背中、押してもらえた気がする。


「ただいまー。」


玄関のドアに手をかけて、
わざと家中に聞こえるくらいの声で
挨拶をした。

もちろん。
手は繋いだまま。

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