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第28章 ヤキモチの答え M×A








母さんの声色と表情は、
いつになく優しくて。


素直に首を縦に振ると、

「和くんには、内緒って
言われてたんだけどなぁ。」

って、1人くすくす笑ってる。

何かその顔も幸せそうだから、
俺も少し笑う。



「和くん、何であそこまで
お父さんと打ち解けてるか
不思議なんでしょ?」
「うん。」


だって、この前俺と一緒に来た時は
あんなことがあったし。

親父の機嫌も最悪。
和だって、傷ついた顔をしてた。

あれが演技な訳がないし、
もちろん今だって、演技じゃないだろうし。


どれだけ考えたって分からないから、
首をフルフルしながら肩を窄める。


「翔は知らないと思うけど、

和くん、ずーっと家に来てたのよ。」
「え?」

「それも泊まる用意まで持って。

『僕は、認めてもらうまで帰りません』
って。
帰れって言われても、絶対に折れなくて。」


…そうだったの?

じゃあ、時々家に帰ってこなかったのって
俺の実家に来てたからだったの?

そこまでして、親父を説得してたの?


知らなかった和の行動に、
鼻の奥がツーンとしてくる。


「初めはお父さんも、
『ふざけるな!』って適当に
あしらってたんだけどね。

ほら。和くんって、懐に入るのが
上手っていうか、その辺が上手い
じゃない?」


あぁ、確かに。

徐々に徐々に距離を詰めて、
気が付いたらすっかり仲が良くなってる、
とか、よくあるもんね。


「最後はお父さんの根負けよ。
『翔のこと、よろしく』って、
お父さんも頭下げたのよ。」


母さんが和の方を見ながら、
ぽつりと、だけどとても愛おしそうに
言葉を零した。

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