DAYS
第29章 エメラルド O×S
リビングのドアを開けたら、
やっぱりさっきと同じところに…って
あれ?
いない。
リビングの部屋に入っていったのに、
リビングに姿が見えない。
キッチンを覗いてもいない。
「翔?」
名前を呼んでみたら、
ぐすんって、すすり泣きする音が聞こえて。
「あ。」
カーテンが何だかもぞもぞと
動いてるから、ちらっと捲ろうとしたら
「やだ。」
強い力で引っ張り返されて、
翔はカーテンにくるまったまま。
力では勝てないから、
「そっか…。
…俺、明日も早いから寝るね。」
ニヤニヤしそうな顔を抑えつつ、
声のトーンを出来るだけ落として言う。
諦める気なんてサラサラないけど。
すると、ほらやっぱり。
俺の言葉に、翔はすぐに反応して
「それもやだっ!」
そう言って、カーテンから
飛び出してきた。
すかさずそこをぎゅっとハグして、
ホールディングする。
「捕まえた。」
翔の首筋に顔を埋めて、
ぼそっと呟く。
それだけで、翔の体は反応する。
こういう所も堪んないんだよ。
「ニノの事、想像したのは
否定出来ないけど…。
でも、1番は翔だから。
翔が1番可愛い。」
「…ニノの方が可愛いよ。」
何て上目遣いで言うから、
ズキュンと胸を射抜かれた。
ほんっとに分かってないんだから。
自分がどれだけ魅惑的なのか。
「メイド服着てる俺が可愛いの?
女の子が好きなの?」
そんな悲しい顔しないで。
だけど、そんな瞳も綺麗で。
「そんな訳ない。
翔だからいいの。
だけど、1番はありのままの翔がいい。」
普段はなかなか口に出来ない言葉を
一生懸命に伝えた。
すると、翔は嬉しそうにはにかんだ。