DAYS
第29章 エメラルド O×S
さっきまでの相槌の声のトーンよりも、
明らかに声が低くなったから、
さすがに潤も気がついたみたいで。
「あれ?
和、何か怒ってる?」
「…怒ってない。」
「ヤキモチ焼いてたのか。」
可愛いなぁー、って
頭をわしゃわしゃされる。
「ちょ、やめろー!」なんていいつつ、
されるがままの俺。
そんな俺を、また可愛いっていう潤。
バランスとれてる俺たち。
「何で翔さんにプレゼントなんか…。」
別に誕生日なわけじゃないし。
潤、ちゃんと渡してたしね。
特別な日でもない。
潤が何か迷惑かけたとか?
いやでも何も聞いてないしー…。
「気になる?」
ニヤッと、意味深な笑みを添えて
潤がじっと俺を見てる。
ここでうんと言えば、潤の思う壷だって
分かってはいるけど、
やっぱり潤には叶わない。
だってそんなの、気になるに決まってる。
あんなにキラキラした顔で話してて、
今なそんな妖しい笑みを浮かべて。
そんな顔、俺以外の人が
させたんだと思うと悔しいんだもん。
それがたとえメンバーでも。
翔さんであっても。
「…キニナル。」
「メイド服、プレゼントしたの。」
「…は?」
収まってた腕からばっと抜け出すと、
潤の正面に体を向ける。
「メイド服。」
「…え、何で?」
驚き、というかショックというか。
「何でそんなのプレゼントしたの?
俺より翔さんがいい?
翔さんに着て欲しくて、
翔さんにそんなのプレゼントしたの?」
追い詰める口調はどんどん早くなって、
言えば言うほど悲しくなってくる。
だけど必死になってる。
いつもだ。
いつも潤のことになると、余裕なんてない。