DAYS
第29章 エメラルド O×S
「和、今言ったよね?
あ、あれれー。
何かこんな所にメイド服が
あるなぁー。
ちょうどいいじゃん。
和、これ着てよ。」
どこから取り出してきたのか、
潤の手にはメイド服。
しかもふりっふりのヤツ。
紺の生地に、真っ白のレース。
ご丁寧にガーターベルトまで…。
えらくスカートは短いしさ。
…潤、ただの変態だよ、これじゃあ。
潤の顔を見てみれば、
案の定、極上の悪い顔をしてる。
そんな瞳を見ると、
背筋がぶるっと震えてしまう。
これが期待だってことを、
自分でも嫌というほど分かってる。
普段はこういうのをすごい警戒してるのに、
潤のことになると必死になっちゃって…。
嫉妬してたら、
まんまと潤にはめられてしまった。
潤、初めからこっちが目的だったんじゃん。
俺にこれ、着せたかっただけじゃん。
翔さんにメイド服をあげたって
話をしたのもそのためだと思うと、
さっきまではあんなに腹立たしかったのに、
途端に愛おしく見えてくるもんだから、
人間ってホント不思議だよね。
「…こんなの着たくない。」
「でも、翔さんより可愛く
着れるんでしょ?」
「でも…。」
「じゃあ、翔さんにメイド服で
写メでも送ってもらおうー…」
「やだやだやだやだ!
俺が着るから!」
もうヤケクソだ。
今日の潤は、だってすごい
意地悪なんだもん。
俺、何か悪いことしたっけ?
そんなことを考えてると、
「ほら。早く着替えて。」
せかせかしてる潤に
背中を押されて、脱衣場に放りこまれて
「ちゃーんと。
全部着てきてね。」
それだけ言い残して、
脱衣場を出ていった。