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第29章 エメラルド O×S







和がにっこにこの笑顔で、
そんな事を言うから、

俺も負けないくらいの笑顔で


「そうだなぁ。

きっと似合うと思って
贈ったから、着てくれてると
嬉しいんだけどね。」


なんて言えば、

うるっと水分を含んでくる和の瞳。


その顔、堪んない。


計算された演技の中に、
ほんの一瞬だけ垣間見える

「和」の部分。

メイドじゃない、和の部分。


だけど、すぐにまた平気そうな顔をする。


んー…まだ頑張るかぁ。

メイドさんもいいけどさ、
そろそろ「和」が欲しい。


「きっとお似合いだと思いますよ。
なで肩だし。
なで肩だし。
なで肩だし。


ですけど…。

俺の方が、可愛いんじゃないですか?」


そういいながら、
じりじりと俺との距離を縮めてくる。


ソファーに座ってる俺の太ももの上に
向き合う形で座る。


するすると伸びてくる和の腕が、
俺の頭を引き寄せる。


鼻がくっつく距離なのに
キスはしない和。


「ね?俺のほうが可愛いでしょ?」


熱い吐息と共に紡ぎ出された言葉。


『ちゃんと俺だけ見て』


そう体現された和の行動に、
また胸が大きく脈をうつ。


「まだよく分かんないかな。」


少し意地悪をしたくなった。

こんなに積極的な和は
かなり珍しいから。


酔っ払ってる時ならあれだけど、

シラフでこんなに積極的なのは
初めてかもしれない。


そんな和を見れて嬉しいってのも
もちろんあるんだけど、

淡白だと思ってた和が
「ヤキモチを焼いてる」ってことが
何よりも嬉しかった。


あー、俺って好かれてるんだって
改めて実感出来たからさ。

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