DAYS
第30章 時計じかけのアンブレラ II S×A
病院に駆けつけてみれば、
手術室の前で、項垂れるように
長イスに座り込んでる翔さんの姿。
手術中の赤いランプが見えて、
あぁ、本当だったんだ。
マネージャーの嘘なんかじゃ
なかったんだって、痛感した。
嘘であってほしかった。
今だってずっとそう思ってるけど、
でもこれが現実だった。
「翔さん。」
名前を呼べば、
この世の終わりだというような
顔をしてる翔さんが顔をあげる。
何で翔さんがそんな顔すんだよ。
相葉さんと翔さんは恋人同士で。
思い合う同士で。
だけど、愛でいえば俺のほうが大きい。
俺のほうが愛してる。
…愛してるんだ。
翔さんは、ケガとか大丈夫ですか?って。
いろんな意味を込めて言ってやった。
「何でアイツはケガしてんのに、
翔さんは無事なわけ?」
「一緒にいたのに、
何にも出来なかったんですか?」
「俺ならアイツを守れたかも
しれないのに、何やってんだよ。」
醜い心がドロドロと、
俺の優しさの残る心を溶かしてく。
真っ黒に塗りつぶしてく。
初めは嫌で仕方がなかった
その感覚も、慣れれば気持ちがいいもんだ。
言葉では、
「翔さんは、ケガしてないですか?」
それだけを言ったのに、
そんな俺の醜い心を知ってか知らずか、
「…それ、皮肉?」
「…はい?」
「お前がケガしとけばよかった、とか
思ってるんじゃないの?」
翔さんの声はどんどん大きくなって。
息が荒くなってる。
バレたのかと思った。
だけど、そうじゃないようで
翔さんの気持ちの問題だった。
でも、俺はこの状況を活かしたくて、
少しだけ瞳を潤ませて、
その場を外してやった。