DAYS
第30章 時計じかけのアンブレラ II S×A
しばらくしてすぐ、
大野さんと潤くんがきた。
2人ともまだ寒い時期なのに、
汗をうっすらとかいてて。
2人から色んなことを聞かれるほど、
翔さんの顔が曇っていく。
少し忘れていた不安がまた
押し寄せてきてるんだろうな。
ここで何か留めを刺すような
言葉を言おうかと、頭をフルに
回転させていた時、
「翔くんは?ケガとかない?
一緒にいたんでしょ?」
大野さんの言葉だった。
大野さんは、分かっていないと思う。
その優しい言葉が、
何よりも翔さんを傷つけてるってこと。
翔さんは、パニックを起こした。
「あ、あ…あ。
やめろ、やめろ…。」
「翔くん?落ち着いて?」
「やめろやめろ…やめてくれ…!
…俺以外の名前なんて、
呼ぶなよ…。」
翔さんが、意識を飛ばす直前。
確かにそう言った。
あとの2人には聞こえていないみたいで、
相変わらず翔さんの心配をして、
大きな声で話しかけてる。
「誰か、病院の人を呼んでくる!」
そう言って、俺は駆け出して
場を離れた。
笑みが零れるのを、
抑えられそうになかったから。
「…ははっ。
ははははは!」
あー…。
自分が底辺にまで、
堕ちていっているのはよく分かる。
だけど、止められなかった。
この想いはどこにいくんだろう。
どうなれば、俺のこの醜い心は
救われるんだろう。
どうすれば、
アイツは俺のものになるんだろう。