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DAYS

第31章 Make your ... O×N








今の俺は、空っぽだ。

何にもないんだ。


何もなくなって、
大野さんへの気持ちの大きさに
気が付いたんだ。



「…好き、だなぁ。」


ポツリとこぼれた言葉に、
涙が出てきた。


「翔さん、ごめん…。」


翔さんの気持ちと向き合う勇気が
なくて、ごめんなさい。

「俺は大野さんが好きだから」って
はっきり言いきれなかった、
俺の弱さを許して。


翔さんに面と向かう勇気も、
言い切る強さも何もなくて。



いくら大好きなゲームをしたって
埋まらない心の穴。

こんなに寂しいのは、初めてだった。


携帯を取って、アドレス帳を開くと
1番初めに出てくる人に電話をかける。


『ーもしもし?』
「今から行くから。」
『え?へ?今から?』
「ダメ?」
『いや、ダメじゃないけどー…』
「じゃあ、行く。」


ちょっと強引に電話を切って、
家と車の鍵と、携帯と財布だけを
持って家を出る。


さすがに手ぶらは悪いと思って、
コンビニであれこれ買い物をしてから
向かう。



「わ、ホントに来たんだ。」
「俺は嘘つかない。

相葉さん、…入れて。」
「うん、おいで。」


どんな時だって変わらず優しい。

困った顔をしてたって、優しいんだ。



「久しぶりだね。こうやって来るの。」
「うん。」
「何かあったの?」
「…。」


何も言わない俺の頭を、
ぽんぽんと優しく撫でてくれる。


その手は優しすぎて、温かすぎて、


今までの疲れがドッとやって来て

「え、ちょ、ニノ?」


深い眠りに落ちてしまった。

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