テキストサイズ

DAYS

第31章 Make your ... O×N






絵を描いている時はいい。


何にも考えなくてすむから。

絵のことだけで、
頭がいっぱいになるか。



「ふー…。」


少しずつ、出来上がっていくキャンバス。

真っ白なキャンバスに、
ニノの笑顔はよく映える。

目で見たあの笑顔には劣るけど、
でも上出来だと思う。


「…もうこんな時間かぁ。」


気がつけば、もう夜中の3時。

さっきまではギンギンに冴えてたのに、
時間を見た途端に眠くなる。



絵を見て、じーっと考え込む。

何か足りないんだ、この絵には。

『よく描けた』とは言えるけど、
でも何かが足りないんだ。


少し色を変えて重ねてみたり、
柔らかくしてみたりしても、

でもやっぱり何か足りない。


絵を見てじっと考えても答えはなくて、
1度絵から離れてみる。


ソファーに沈んで、
ゆっくりと体をあずける。

一睡もしていない俺の体を
優しく包み込んでくれるソファー。


こんなところで寝ちゃ、体中が
痛くなるのは分かるんだけど…。


「ふぁー…。」


もうここで寝てしまおう。

何にも考えず、夢をも見ずに
ゆっくり眠ることが出来そうだし。


幸い、明日はオフだし。

ここで寝ても、何とかなるし。

何より眠くて堪らない。



「…なんか、足りないなぁ。」


あの絵に足りないものは、
まだよく分かんないけど。


でも、俺に足りないものは分かる。


「1歩踏み出す勇気…。」


口に出して唱えてみたところで、
何も変わらないかもしれないけど。


でも、やらなくちゃ始まらないんだ。

俺の恋は。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ