
DAYS
第31章 Make your ... O×N
そろそろ本格的に
ゲームに専念しようと画面を
見つめた時。
「ニノ。」
俺の動きを止めたのは、
翔さんの声だった。
「どうしたんですか?」
自然に、自然に…。
大丈夫かな、俺。
声、震えてなかったかな。
あの日…、翔さんに抱きしめられてから
ずっと避けてきてた。
「好きだ」って耳元で囁かれて、
ぎゅっと強く抱きしめられて…。
俺は何にも出来なかった。
うん、とも。
ごめん、とも言えなかった。
ただされるがままだった。
いや、きっとどうにか出来たんだ。
ただ俺に振りほどく勇気が
なかっただけなんだ。
ちゃんと翔さんの気持ちに
向き合おうとしなかったからなんだ。
それれが誤解をうんでるんだ。
俺が好きなのは大野さんなのに…。
「…ニノ?」
「あ…。すみません。」
「大丈夫だけど、大丈夫?
今日、これが終わったら
ちょっとだけ時間くんない?」
その言葉に、もう腹をくくるしか
ないと思った。
言おう。
今日言わなきゃ。
「ええ、大丈夫です。
ちょうど俺も話したいことが
あったので…。」
「そっか、じゃあよろしく。」
それだけ言うと、翔さんはまた
新聞に目を落とした。
何をどうやって言おうか、とか。
どういえば、翔さんは
分かってくれるんだろう、とか。
そんなことで頭がいっぱいになって、
大野さんがいつの間にか起きて、
俺たちの会話を聞いてたなんて
思ってもみなかった。
