テキストサイズ

DAYS

第31章 Make your ... O×N







収録が終わってすぐ、
翔さんに呼び出された。


「どこか飲みにでも行く?」
って聞いても、

「すぐ終わるから。大丈夫だよ。」


着いてきて、って言われるままに
ちょこちょこ後ろを歩く。

楽屋には戻らずに、
局の屋上のほうへと向かう俺たち。


まだ6月だっていうのに、
微かに日が昇ってるこの時間でさえ
少し蒸し暑く感じた。


少しの間、時が止まったかのように
じっと俯いてる翔さん。

そして、唇を噛んで、何かを決意した
ような顔で俺を見た。


「あのさ。」
「はい。」
「俺、ズルイことした。」
「え?」
「ニノが智くんのことを好きだって
知ってて、困らせるようなことを
してさ…。

ニノに返事もさせないで、
ずっと逃げてた。」


バツの悪そうな顔をしてる翔さん。


少し前の俺なら、きっと

「ふざけんなよ」って、これくらい
きつい言葉を投げかけてたかもしれない。


でも、今はちゃんと分かるから。


人を好きになるのはどうしようも
ないことで。

自分の気持ちを殺すほど、
辛いことはないってこと。

どうしても諦めがつかない気持ちも、
答えが怖くて逃げる気持ちも、
全部分かるから。


「ううん…。
俺もごめん…。」
「…智くんは、待ってるから。

って言っても、たぶんニノのこと
だから、俺のことを気にするだろ?


だから、俺のこと、
ちゃんと振ってほしいんだ。

もう覚悟は出来たから。」


待たせてごめんな。

辛い思いをさせてごめんな。


そう言って謝る翔さん。

俺のほうこそ、ごめんなさい。


…ありがとう、翔さん。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ