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DAYS

第31章 Make your ... O×N






がむしゃらに走った。


荷物を持って楽屋を飛び出すのを、
まだ残ってた相葉さんがきょとんと
した表情で見てる。


「俺、行ってくる。」


それだけ言えば、すべてが伝わった
みたいで、


「頑張れ。」

って、とびきりの笑顔をくれた。


ありがとう。相葉さん。


その笑顔で、緊張で冷たくなってた体が
少しポカポカした気がした。


「送りましょうか?」って、
悠長に話しかけてくるマネージャーを
丁重に断って、局をでて。

そのタクシーを捕まえて、

「出来るだけ急いで。」


それだけ言い残して、ゆっくりと
目を閉じた。


心臓が大きく脈を打つ。

さっき走ったから、だけじゃない。

緊張とか、そんな生ぬるい言葉じゃ
足りなくて。


これからの関係が変わることへの
不安と期待なんだと思う。

どう転んだって、今の関係のままって
いうのは不可能で。


今のままのほうがいいんじゃないかって、
頭のどこかでもう1人の俺が言ってる。

踏み出す勇気を持てたはずなのに、
でもやっぱり怖いものは怖くて。


「ふぅ…。」


タクシーに大きく響く呼吸。


つきましたよって、運転手さんの声。

財布から適当にお札をとると、
お釣りはいらないと飛び出した。

このこと、誰かに言ったら
きっと心底驚かれるだろうな。


だって、早く会いたいんだよ。

どれだけ不安に思ったって、
心臓の音がうるさくったって、

会いたいんだ。今すぐ。


好きなんだから。

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