DAYS
第5章 Because I love You S×N
N side
「和?」
優しく声をかけてくれる。
その声を聞いただけで嬉しくて。
でも、それと同時に相葉さんとのキスを
見られたことを思い出して、
返事をすることも、顔を上げることも
出来ない。
「…和?」
「…何?」
可愛くない返事しか出来ない自分が
嫌になる。
そんな俺にも、翔さんは
「こっちおいで。」
両手を広げて、俺のほうを見てる。
そんなところを見てたら、
鼻の奥がつんとして、視界がぼやけてくる。
お酒が入ってるからか、
自分でも止めることが出来なくて。
「え、ちょ、和?」
翔さんがオロオロしながら、
俺をぎゅっと抱きしめてくれる。
こんなに大切にしてくれてるのに。
こんなに優しく俺を見てくれてるのに。
ヤキモチを妬いていた自分が
すごく小さく見えて、情けなくて。
「…っ。翔さっん、…ふっ。」
「ん?」
「ごめっね。…っ。」
「どうしたの?」
少し体を離して、俺の瞳をじーっと
見つめてくれてる。
「いっつも、素直…じゃっ、なくって
ごめっんね…ふぅっ。」
「和…。」
涙が止まらない。
翔さんが、俺の目尻に溜まった涙を
優しく拭ってくれる。
「和。」
「んん…っ。ふっ。」
呆れちゃった?
翔さんの次の言葉が怖くて、
返事が出来なかった。
「和?」
「…。」
「かぁーず。」
俺の頬を両手で優しく包んで、
ちゅっと短いキスをする。
「んっ…。」
「和さ、最近何か変だったから…。
何かあったの?」
柔らかい口調で尋ねてくるけど…。
嫉妬してました。なんて
言えないよ…。
「ごめんな。ちゃんと聞いてあげられ
なくて…。
俺さ、自惚れてて。
言わなくても、聞かなくても
4年も一緒にいるから大丈夫って、
変に自信持ってて。
ちゃんとこうやって、時間作って話を
したり、向き合ったりすることなんて
なかったから。
不安にさせちゃったよな。
ごめんな。」
顔を上げると、翔さんの哀しい顔。
違う。そうじゃない。
翔さんのせいじゃないよ。
それもこれも全部、俺が素直じゃないから。