
DAYS
第33章 交接 -deep night- ANOS×M
湯気の上がったマグカップが5つ。
部屋は静かで、どこからか
時計の秒針の音が聞こえてくる。
みんな、しばらく何も言わなかった。
コーヒーを飲み終えても、
誰も口を開こうとはしない。
メンバーがこうやって、誰かの家に
揃うのもほとんど無かったことだし、
内容が内容だから切り出しにくい。
そんな異様な雰囲気に切り込んで
いったのは、潤。
「あのさ…。みんな、どうしたの?」
代わる代わるに俺たちの顔を覗いて、
俺たちの様子を伺っている。
何か悪い話でもされると思っているのか。
まぁ、潤にとってもあまりよくない
話なのかもしれないな。
何か言わなくちゃいけないんだけど、
いい言葉が出てこない。
どう伝えたって、苦しませる。
悲しませる。辛くさせる。
改めて、自分のやってきたことの
過ちの大きさを痛感する。
1番初めに、しなければいけないこと。
「…言わなきゃいけないことが
たくさんあるんだけど。
今までごめん。」
頭を下げてる俺に、視線が向けられてるのを
感じる。
「俺も、謝らなくちゃいけない。
すまなかった。」
「こんなのダメだって分かってた。
でも、止められなかった。
ごめんなさい。」
俺に続いて、翔くんもニノも頭を下げる。
これで許してもらえなかったら
どうしようと頭の隅で考える。
頭の隅だけで。
だって、許してくれると思っていたから。
だけどそんなの甘かったらしい。
「…何、今さら。」
返ってきた言葉は厳しくて、
声は冷たくて堅いものだった。
