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DAYS

第34章 Lives M×O




酔っ払ってるから、気持ち的に
何とか乗り切れると思っていた。


だけど、

「はぁ…。」

何度ここでため息をついただろうか。
もう何分も玄関のドアの前でこうしている。


こんなところにいたって
状況が変わるわけじゃない。

一度大きく深呼吸をして、
なるべくいつも通りを心がけて

「ただいまー。」

少し大きめの声で言ってみた。


だけど、何にも返事はない。

恐ろしいほど物音ひとつしなかった。


部屋はひんやりと感じられた。

頭冷やしてこいってことか?

でも、夏だし、冷えるどころかむしろ
蒸し暑いくらいだったのに、ここだけは
涼しい…というか、寒い。冷たい。


智がいないだけでこんなにも。

一緒に住むまではこんなのが
当たり前だったのにな…。


いつまでも玄関に突っ立ってるわけにも
いかないから、リビングへ向かう。

ほんの少しだけ、期待を込めて。

だけど電気はついていない。

寝てるな、これは絶対に。


物音を立てずに、そーっと寝室のドアを
開けてみた。

ベッドを覗いて見ても、それっぽい
影は見えない。


「家にいない、とかはないよな…。」


寝室も見た。お風呂も見た。
キッチンも、リビングも、クローゼットまで。

やっぱりいないのか。
分かってはいたけど、寂しい。
探しに行かないと…。


ついさっき通った廊下を抜けて、
もう一度玄関へと向かおうとしてた時、

玄関に一番近いゲストルームから
かすかだけど音がした。

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