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DAYS

第34章 Lives M×O




O side


ゴソゴソと音がした。

潤、帰って来たんだな…。


枕元の時計をチラッと覗けば、
てっぺんを超える前。

この業界では、特別遅い訳でもないけど
でも仕事は夕方には終わってるはずなのに。


「やっぱり俺、嫌われたかな…。」


さっきまで引っ込んでた涙が、
またじわっと出て、目の淵に溜まる。

つーっと頬を伝ってく。

だけど、その涙はさっきより少し温かい。


あんなに会いたくなかったのに、
やっぱり嬉しいんだ、俺。

好きな人と一緒にいられるこの家が。


何かボソボソと呟く声が聞こえてくる。
ドアにくっつけば、聞こえるかもしれない。

でも、聞けなかった。
潤の心を知ってしまうのが怖かったから。


足音は、俺のいる部屋から動かないまま、
1時間ほどたってしまった。

物音しない廊下。

かといって玄関の方でも音が
した訳じゃないから、家の中にはいる。


「もしかして…。」


音をたてないようにそっとベッドから
抜け出して、ドアを開ける。


ドアからそっと顔を出して、
あたりをキョロキョロと見回してみれば


「やっぱり…。」


廊下の壁にもたれ掛かって
そのまま寝ちゃってる潤の姿が見えた。

帰ってきたまんまの格好で。

体育座りした膝の上に、
頭をひょいっと丸め込ませてる。


「首、痛くなっちゃうよ…。

何やってんだよ、こんなところで。」


本当、何やってんだ…。

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