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DAYS

第34章 Lives M×O




かなり没頭していたらしい。


「ただいまー。」

潤の声で、はっと我に返る。

ずっと集中して作業をしていたから、
意識した途端に体中がだるくなる。

外が真っ暗なことに
今更だけど気が付いた。


「ふぅ…。」


ずっと詰めていた息を吐いた。

もう時刻は9時を回っていた。
朝から何も食べていないせいか、
お腹が空いているような気がする。


ドアの向こうでバタバタしてる音が
聞こえてくる。

それと一緒に、

「さーとーしーー?」

俺を探してる声がするから、
軽く返事をして、潤がいるであろう
リビングに向かった。


「潤、おかえり。」
「あ、智。ただいま。

どこにいたの?」


どこかツンとした拗ねた顔を
してるもんだから、吹き出しそうになる。

…可愛いなぁ、ほんと。


「ごめん、アトリエにいたんだ。」
「そうなんだ。」

俺、智に出迎えてもらえるのを
楽しみにしてるんだよ?

って、いきなりそんなことを
言うもんだから、きゅんとした。


テレビでは格好よくて、
ライブではアイドルしてて、ファンの
みんなを虜にして。

でも家ではこんなんなんですよーーー!
俺の前じゃこんなんなんですよーー!って、
みんなに叫んでやりたいくらい。


俺、こんなヤツだったっけな。


「何か新しいの作ってたの?新作?」
「うん。ちょっとね。」
「へぇ…。完成したらー…。」
「潤に見せてあげる。」


被せ気味に即答すれば、
これ以上ない笑顔をくれたから

やっぱり作ることに決めて良かったな。

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